第4回 チンパンジーの喜ぶ顔が見てみたい
@福岡市動物園

 10月3日
 福岡市動物園でワークショップをおこないました。
 今回は、野生の採食場面を再現することが目的です。
 野生のチンパンジーはたくさん実のなっている木で、熟した実だけを選んで取って食べます。何気ないことのように思えますが、ブルーベリー狩りやイチゴ狩りをしたことのある人なら、熟したものだけを選んで取ることが結構めんどうで時間のかかる作業であることをご存じだと思います。野生のチンパンジーたちは、それが当り前です。飼育下では自分たちで選んで取ることがありません。そこで、みなさんの力を借りて、「実のなる木」をつくりました。

 

 サイコロ状に切った果物や野菜を枝の先につけ、実のなる木に見立ててタワーに設置しました。

 

 チンパンジーたちが出てくると、大騒ぎ。嬉しそうな声を出しながら、枝から好きなものを選び取って食べていました。その様子は野生のチンパンジーが熟した実を選んで取って食べている様子によく似ていました。

 参加してくれたみなさん、ありがとうございました。
また、この企画を快く引き受けてくださった福岡市動物園の職員のみなさま、ありがとうございました。


参加者の感想


通常の採食以外の食材で嬉しそうだった。
いろいろなフートを聞け、個体によっての好みが見られた。
エンリッチメントが飼育員の中で、おもちゃをやる的な考えがまだ多いと思う。今日のことを含めて園でも理解する方が増える様、話しシシオにも取り入れてみたい。

チンパンジーが楽しそうにエサを取っているのを見て、もっと他の動物にもエンリッチメントをしたくなったです。ウチの園のニホンザルにもいろいろ試してみたい。

今日は大変貴重な経験をさせていただきありがとうございました。
自分自身、普段はニホンザルの勉強をしているのですが、同じ霊長類でも行動に色々な違いがあり、とても勉強になりました。
自分で作業をすると、より集中して行動観察ができた気がします。
今回初めてこの活動に参加させていただきましたが、これから動物園に行くときの見学の仕方が少し変わる気がします。今までエンリッチメントということをあまり考えずに見ていましたが、これからはエンリッチメントを考えながら見て、どの点が良く、どの点が悪いかを考えることで、これからの自分の視野をさらに広げていきたいと思います。

チンパンジーを間近に見ることができとてもおもしろかったです。想像していたよりも大きく、動きも良く、観察するとおもしろい発見が多々あり、とても楽しかったです。
木にさしたバナナやニンジンを食べる時に、手を使わずに口から直接とって食べていたこともあったが、木にさしている果物を手でつまんでほおばっている所を観察することができた。

自然界でのチンパンジーの現状を聞いた時、収入源として肉が売られている事は、初めて聞きました。
チョット ショックでしたがそのようにせざるを得ない人々もいるのでしょうか?同じ人間として、複雑な心境になりました。
枝に野菜・果物を付けて、設置して、それを嬉しそうに食べる様子を見るとこちらも嬉しくなりました。
セロリを食べる様子を見ると、人間と同じで好き嫌いがあるのかなと思いました。
色々な動物が絶滅の危機にありますが、その原因として人間の存在があると思います。
同じ人間として、少しでもその動物達のためになることがあれば、協力していきたいと思います。
今日も楽しく参加させていただき、ありがとうございました。

初めてチンパンジーを間近に見ることができた。チンパンジーに喜んだ時の声があったり表情があるという社会特性はとても興味深かった。
チンパンジーにとっても、他のチンパンジーとの人間関係が重要という側面に、私も強く共感した。私は今大学で「ミラーニューロン」の研究に携わっている。ミラーニューロンとは、自身が実際に体を動かさなくても、体を動かすときに活性化するニューロン部位が、他者の身体を見ることで、ふ活するというものである。つまり、相手の動きを頭の中でまねっこ(ミラー)しているニューロンということである。今、脳研究においてこのミラーニューロンが非常にホットである。まねっこという行為に関係することから、人が技術修得する時に重要な要素を担っていると考えられている。さらに、このミラーニューロンの登場によって、脳科学を論じる時には被験者を個室に入れた時には観測できない、"社会的な"脳科学にパラダイムがシフトしている。この点において、サンクチュアリープロジェクトが単一個体の飼育ではなく、複数の個体で自然状態で飼育することの重要性と、現在の脳科学の流れはとてもマッチングしていると思う。もし、私に時間があるならば、好意関係にあるチンパンジー同志と、好意が薄いチンパンジーで互いに模倣行動がどの程度行なわれているのかという傾向を探れたらおもしろいと思う。(まねをたくさんされると相手に好意を持ってもらえるという「カメレオン効果」がある。)
これからもこのプロジェクトに注目していきたい。

先月に、ジェーングドールさん(チンパンジー研究者)についてのドキュメンタリー映画を見て、チンパンジーの生態に興味を持ち、今回サンクチュアリ・プロジェクトさんのワークショップに参加しました。映画で見た以外のチンパンジーに関する知識がほとんどなかったので、今回チンパンジーの生態や日本で飼育されているチンパンジーのことについて知ることができて良かったです。現在、私は心理学を勉強しているのでチンパンジーの社会性についてのお話はとても興味深かったです。また、今まではチンパンジーは動物園にいる動物たちの中のOne of themでしたが、今回チンパンジーについて学び、チンパンジーの食べ物の木を作り、その木の食べ物を食べているチンパンジーを観察することができ、他の動物たちよりも少し身近な存在になったと思います。
チンパンジーを見る時に、今まではただぼーっと眺めていただけでしたが、彼らは声や表情などを使い、自分の気持ちを示していると知り、観察するのがとても楽しくなりました。
ありがとうございました。

今回は2回目の参加だったので、チンパンジーとも顔なじみで、より、楽しむことがでました。前回は、チンパンジーについてほとんど知らないままでの、作業・観察だったのですが、やはり、いろいろと知ってからだと、味わい方が深くなりますね。まだまだ、自然の環境とは程遠いと思いますが、少しは本来のチンパンジーの姿を見られた事は、うれしかったです。なによりも、チンパンジーが好きになりました!これから、もっと、このような活動が盛んになればと思います。
ありがとうございました。

今回は前回ウンチを投げつけられたので「リベンジ」をしてやろう!!と意気込んできたものの、やっぱり彼ら、彼女らの迫力には勝てませんでした・・・。
でも、色々な果物や野菜を興奮しながら選んでいる姿を見れて、"やっぱり来てよかったな〜"って思いました!
下に落ちているものを拾った方が簡単なのに、ボンがわざわざサクラが食べようとしているものを横取りしようとしている姿を見ると、思わず笑ってしまいました!自分のしたい事を、すぐ行動に移す彼ら、彼女らは、やっぱり、見ていて飽きません!!
今日も楽しかったで〜す♪
どうもありがとうございました。

ゴリラやボノボの数の減少は知っていたけど、チンパンジーも絶滅危惧種になっていることまでは知りませんでした。それに、私もテレビで見るチンパンジーのイメージが強く、大人は顔が黒く、間近で見ると大きく、力強くてビックリしました。
人間の都合で、本来は群で暮らすチンパンジーだけど、1人ぼっちのチンパンジーが多くて、エサも与えられて本来のチンパンジーらしい生活が送れていないのは少し悲しいです。なので、人間に見せるためだけの展示ではなく、動物たちが本来生きている状態に近い環境を作り、また、変化を与えて、人間も動物も飽きない動物園が増えたらいいと思うし、私も将来そういう活動に参加していければいいと考えています。
今回はチンパンジーについてたくさん知ることができたので、参加して本当によかったと思います。ありがとうございました。

もともとチンパンジーについての知識はあまり持っていなかったので、今回色々な話が聞けて良かったです。実際のチンパンジーは思っていたよりも体が大きくて、行動や鳴き声が激しくて、迫力がありました!!
木の枝にフルーツや野菜を木の実にみたててさしていって、チンパンジー達がそれを取って食べる姿を見ました。すごく喜んで食べているように見えたので、その姿がかわいくて、おもしろくて、見てて楽しかったです★
また、チンパンジーに関する問題も聞くことができました。チンパンジーだけでなく、他の動物のことや問題についても知識を増やしていきたいです。

来た時は、雨がすごく降っていて、不安だったけど、作業する時には雨もやんで、良かったなと思いました。
木に果物や野菜をさしていく作業は楽しかったです。あけびやぶどうやにんじんやセロリを、「どんな風に食べるんやろう」と思いながらさしました。実をつけた木を、外に持っていく時に、中にいたチンパンジーに騒がれて、びっくりしました。木をアスレチックにつけたあと、チンパンジーを見ていたら、ツバを飛ばされました。警戒してるんかなと思いました。作業が終わって観察すると、まず、3匹ともけたたましい鳴き声をあげながら、外に出てきました。オスが食べるのを見てからメスが食べたり、セロリをのけて、グレープフルーツやぶどうを食べたり、これで、木が終わった?もう食べ物ない?と思ったら、下の方にあった木を見つけて、すべって降りて来たり、2匹で同じ木を仲良く食べていたり、見ていて興味深かったです。
最後の方で、落ち着いてきたころに、セロリしか残っていない木を、しぶしぶセロリだけとって食べているように見えたのが面白かったです。

大学の研究で、エンリッチメントについて研究する予定です。実際の施策を体験してみて、とても勉強になりました。
チンパンジーのために工夫した物を準備することは、見学者にとっても「いつもの動物園」ではないことなので、ある種のエンリッチメントなのかな、と思いました。動物にとって単調(のように見える)日常に、人の手が少し入ることによって、より刺激になっていることが良かったと思います。
これを機に、チンパンジーや自分が携わる予定の動物以外のcaptive animal についてのエンリッチメントにも意識していけたらと思います。

 

 

BACK