SANCTUARY PROJECT

HOME CHIMPANZEE SUPPORT FOR THE KUMAMOTO SANCTUARY ABOUT US

チンパンジーって?

チンパンジーと私たちヒトは600万年前までは共通の祖先でした。
そして、DNAの塩基配列には1.2%の違いしかありません。
チンパンジーを「サル」 と呼ぶ人もいますが、チンパンジーはニホンザルよりも私たちヒトに近い生き物です。
ゴリラ、オランウータン、チンパンジー、ボノボを「大型類人猿」と言います。英語でも「エイプ(ape)」と言い、サル「モンキー(monkey)」と区別されています。大型類人猿は「サルの仲間」というよりも「ヒトの仲間」なのです。

 20世紀始めごろまでには、200万のチンパンジーが生息していましたが、2003年現在では17万〜30万と推定されています(IUCN 2003)。チンパンジーは、国際自然保護連合の「絶滅の恐れのある生物種リスト」で絶滅危惧種(近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に指定されています。

 

 

 

 

 

 

チンパンジーが減ってしまっているのは・・・

生息地の破壊 
 人口増加や人間の活動(農業拡大、森林伐採など)による生息地の減少や生息地が分断されています。森が小さくなると、食物が少なくなるのはもちろんのこと、チンパンジー同士の交流ができなくなります。

ブッシュミートトレード
 木材伐採のために道路を作り、森林の奥まで道路が伸びたことにより、密猟者が容易に森の中へ入ることができるようになりました。また、今までは自分達の食料としてしか狩りをしなかった現地の人たちが、市場で現金に換える為に狩りをするようになりました。

密猟 
 研究やペット用にチンパンジーの子どもは生きたまま密猟者に連れて行かれます。一人の子どもを捕るために、10以上の大人チンパンジーが殺されると言われています。特に1970年代には、多くのチンパンジーが日本を含む先進国に研究や動物園、ペット用に送るために乱獲されました。現在でも密猟は続いており、密猟者から没収された幼いチンパンジーはサンクチュアリに引き取られ、保護されています。

伝染病 
 森に人間が入るようになったことで、人間の病気がチンパンジーにうつり死亡する場合もあります。

 

 

生息地と亜種

チンパンジーは、アフリカの赤道付近の熱帯多雨林からサバンナまで様々な環境で生活しています。
チンパンジーと一口に言っても、生息地域によりいろいろな特徴が異なることから、現在、4つの亜種に分類されています。


IUCN2010 RED LISTより

 

 

 

ヒガシチンパンジー  Pan troglodytes schweinfurthii    
ケナガチンパンジーとも呼ばれ、その名のとおりほかの亜種よりも毛が長め。子どもの顔は白い。
ザイール北東部からウガンダ、タンザニアにかけて7カ国に生息。    
生息数は76,000〜120,000個体。

チュウオウチンパンジー  Pan troglodytes troglodytes
ハゲアタマチンパンジーとも呼ばれ、子どもの顔は白い。  
中央アフリカのカメルーンからコンゴ、中央アフリカ共和国にかけて7カ国に生息。    
生息数は70,000〜117,000個体。

ナイジエリアチンパンジー Pan troglodytes vellerosus
1997年、DNAの塩基配列が研究され、中央チンパンジーと違う亜種であることが分かりました。
ナイジェリア、カメルーンの北部に生息。
生息数は5,000〜8,000個体。

ニシチンパンジー Pan troglodytes verus 
マスクチンパンジーとも呼ばれ、子どもの顔は目の周りが黒い。
西アフリカのセネガルからガーナにかけて、10カ国に生息。
生息数は21,000〜56,000個体。

 

チンパンジーのくらし

 チンパンジーは離合集散性の社会です。群れの仲間は集合して食事をすることもあれば、数人のグループや母子だけで行動することもあります。おいしい食べ物があるかないか、オスにとって魅力的な発情したメスがいるかいないかなどによって群れのメンバーが集まったり、離れたりして行動します。
 優位なオスを中心にした社会的な順位がありますが、優位なオスが群れの動きなどをコントロールすることはありません。また、優位な地位をめぐってオス同士で争うことがあります。オスたちは、優位な地位を得るために同盟を組んだり、協力し合ったりして政治的な戦略を立てて行動することがあります。
 オスは生まれ育った集団で一生を過ごし、メスは大人になるとほかの群れに移っていきます。
 移動するときはおもに地上を移動します。休息したり食事するときは樹上で多くの時間を過ごします。食べ物は主に果実ですが、葉や茎、樹皮などの植物質のものや昆虫や卵、サルやシカの仲間を捕まえてその肉を食べることもあります。

繁殖
 メスは、7−9歳になると性皮がピンク色に大きく腫れるようになります。これは発情のサインです。 オスも子どもたちもこのピンクの風船をつけたようなお尻に夢中になります。
 優位なオスはもちろん、順位の低いオスも交尾します。どのオスもすべてのメスと交尾します。
 大人が交尾をしていると、ちびっこたちが寄ってきてオスにとびかかったり、メスに乗ったりして大人の交尾を邪魔することがあります。しかし、大人たちはこのちびっこたちを叱るようなことはなく、ちょっと手で払いのけたりするだけです。このように大人たちの交尾を近くで見ることにより、子どもたちは交尾の方法や、メスの誘い方などを学びます。


グルーミング
 グルーミング(毛づくろい)は、ただ体をきれいにするためだけではありません。仲の良いもの同士がくつろいでいるときによく見られるほか、ケンカの後の仲直りや相手のご機嫌をとるため、絆を深めるため、緊張をやわらげるためなどその場面によって多くの意味を持っています。また、グルーミングのときは、口を小さくパクパクさせたり、「クチャクチャクチャ」と音を立てます。

 

 

音声
 
チンパンジーは、ゴリラやオランウータンと比べると、かなり騒々しいです。さまざまな音声のレパートリーを持ち、盛んに声でコミュニケーションをとります。  「フーホーフーホーギャー!!」というのはパント・フートと呼ばれ、チンパンジーを代表する音声の一つです。「ぼくはここにいるよ!!」「今、到着したぞ!」などの意味があり、群れの仲間が合流したとき、または遠くの仲間とコミュニケーションをとるときなどに叫びます。

 

 

子育て
 子どもたちは、4−5歳までは母親のそばで過ごします。この頃に次の子どもが生まれます。お兄ちゃん、お姉ちゃんになった子どもたちは、母親のそばで弟や妹が育っていくのを見て過ごします。特にメスのこどもは、弟や妹にとても興味を示し、母親の手伝いをすることもあります。赤ん坊も、母親をはじめ、仲間たちに囲まれて育つことで、挨拶や食べ物、道具の使い方などを学んでいきます。
 チンパンジーの母親は、積極的に子どもに教えることはありませんが、子どもが至近距離で母親の一挙一動を見たり、母親の食べ物や道具に触れることを許します。また、子どもが不安になるとすぐに抱きしめて安心感を与えます。子どもの遊びが激しくなってケンカになると母親同士のケンカになることもあります。
 子どもたちはクルクル回ったり、追いかけっこしたり、レスリングなどをして遊びます。遊んでいるときは「ハハハハ」と笑います。また、大人たちも子どもほどではありませんがよく遊びます。

HOME CHIMPANZEE SUPPORT FOR THE KUMAMOTO SANCTUARY ABOUT US