SANCTUARY PROJECT


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ひとりぼっちのチンパンジーのためのサンクチュアリをめざして

国内で暮らしているひとりぼっちのチンパンジーのためのサンクチュアリをつくることを目指して2004年にサンクチュアリ・プロジェクトを設立しました。
わたしたち自身がチンパンジーのエンターテイメントに深く関わっていたため、エンターテイメントに使用されその後も単独飼育を続けられているチンパンジーたちがチンパンジーらしく暮らせる環境を作る必要があると強く考えていました。設立当初は独自の施設を作ることを想定していましたが、資金や運営面での課題を乗り越えることは非常に困難であるため、既存のサンクチュアリに受け入れてもらえるような体制づくりをおこなっています。

これまでにエンターテイメントで使用され、引退後も単独生活を送っていた5にんのチンパンジーを既存のサンクチュアリ(熊本サンクチュアリ)に迎えていただくことができました。


チンパンジーへの正しい理解を深めるための教育活動

「チンパンジーをもっとちゃんとよく知ろう」と題して、チンパンジーとはどういう生き物なのか、どんな暮らしをしているのか、どんなふうに仲間とコミュニケーションをとっているのか、そして本来の生息地ではないところで暮らしているチンパンジーたちはどうやって連れてこられたのか、などチンパンジーのことを深く知ってもらえるような教育プログラムをおこなっています。

これまでの活動はこちらから

現在は教育プログラムは休止中です


 

チンパンジーのエンターテイメント使用に反対しています

we live not for your entertainment

サンクチュアリ・プロジェクトはチンパンジーのエンターテイメント使用に反対しています。

 チンパンジーはわたしたちのエンターテイメントのために生きているわけではありません。わたしたち人間は「人間のために」あらゆる動物を利用してきています。人間が生物として生きていくための利用にとどまらず、エンターテイメントにも使用してきました。特にチンパンジーは知能が高いうえ、動作も人間に近いところがあるために面白おかしくエンターテイメントに使用されてきました。

しかし、人間が面白がっている一方でそのチンパンジーには数知れない犠牲と苦痛を負わせています。本来であればお母さんに甘え、チンパンジーの仲間と転げまわって遊ぶ盛りの子どもに無理やり服を着せ、2足立ちさせることを強要し、人の傍らで大人しくしていることを無理強いされているのです。チンパンジーの子どもがおとなしくしているなんてことは、通常あり得ません。具合が悪いか、恐怖を感じるアルファオスがそばにいるとき以外、子どものチンパンジーはじっとしていません。

同じ生物として、また私たちと同じように長い一生を送るチンパンジーに敬意を払い、本来の生態や行動、生息地のおかれている状況にもっと関心をもってください。誰かを犠牲にしなくても、わたしたちにはほかのエンターテイメントがたくさんあるはずです。もうこれ以上チンパンジーのエンターテイメント使用を続けるべきではありません。


2023年10月にカドリードミニオンのプリンちゃんがショーを引退しました。プリンちゃんが国内で最後のエンターテイメントに使用されたチンパンジーとなるよう、これからはチンパンジーたちはみなチンパンジーらしく過ごせるよう、強く願っています。




2007年 「エンターテイメントに使用されるチンパンジー」について

私たちサンクチュアリ・プロジェクトは、発足以来、一貫してエンターテイメントに使用されるチンパンジーの現状、その将来についての問題点を皆様にお伝えしてきました。
 

 私たちサンクチュアリ・プロジェクトのメンバー数名はチンパンジーショーを実際に行っていた経験者であり、その反省から日本で単独飼育されているチンパンジーのサンクチュアリ実現を目的としています。なぜなら、私たちは、「チンパンジーは私たち人間に近い心を持った存在であり、群れの中で生まれ、育ち、生活することがチンパンジーの基本である」と考えているからです。

サンクチュアリ・プロジェクトでは、以下のような理由でチンパンジーのエンターテイメント使用について反対しています。

@大事な幼少期(将来への影響)
一般的に、動物ショーやテレビ、イベントなどに使われるチンパンジーの多くは2才から6才です。ヒトに良く慣れるように、幼児期に母親から離して人工哺育されます。(あるいは、育児放棄され人工哺育された個体も用いられます。)そして、トレーナーとの1対1の絆を築くために多くの場合、ほかのチンパンジーとは隔離されて飼育されます。そして、この間にヒトのように振舞うことを教えられ、服を着せられ、手を振ったり、お辞儀をしたりすることを教えられるのです。この時期は本来チンパンジーにとって、お母さんのそばでお母さんから生きていくために必要なこと、仲間と過ごすために必要なことを学んでいく大切な時期です。この時期にチンパンジーのお母さんや仲間と過ごせないということは、チンパンジーとして生きていくための必要なことを身につけることができない、ということになります。

Aエンターテイメント目的の調教の実情
ビジネスとしてエンターテイメントに使用するということは、トレーナーや経営者、テレビ局の要求をチンパンジーに対して強要することになります。チンパンジーが何をしたいか、したくないかではなく、ヒト側の要求が優先されます。そのために必要な物理的、心理的に強硬な手段が用いられることも少なくありません。また、ヒトが無理強いして言うことを聞かせることができるのは、ほんの一時期です。10歳に満たないうちにチンパンジーの力はヒトよりも強くなり、ヒトがチンパンジーをコントロールするのは難しくなります。「やりたくないことはやりたくない」という意思もはっきりしてきます。そしてコントロールできなくなったチンパンジーは、ショーを「引退」することになります。

B引退後のチンパンジー
一度ヒトのように振舞うことを教えられたチンパンジーが、一生「ヒト」としてヒトと一緒に暮らすことができるとしたら、これはそんなに大きな問題ではないのかもしれません。また、チンパンジーが簡単に仲間を受け入れ、学習しなくてもチンパンジーとして生きていけるのであれば、ショーなどを引退した後でも簡単に仲間と暮らすことができるでしょう。しかし大事な幼少期にチンパンジーと離され、ヒトと多くの時間を過ごしたチンパンジーは、社会生活に必要な挨拶やルールを知らず、結果として過度のストレスを受けたり、怪我のリスクが高くなったりと、本来であれば必要のない困難に立ち向かわなくてはなりません。最悪の場合、ひとりぼっちで残りの50年以上の生涯を過ごさなければならなくなる、という悲しい結果も考えられます。

C間違ったチンパンジー像
「CM、テレビ番組への出演はチンパンジーを知ってもらう機会につながる」という意見もあります。しかし、服を着て、ヒトのように振舞うという極端な擬人化は、チンパンジーの本来の姿を大きく歪めて伝えることになります。絶滅危惧種となってしまったチンパンジーの保全活動を進めていくためにも、本来のチンパンジーの姿を伝えていくことが必要です。それがこれからの保全活動を担う世代の育成に役立つことになるでしょう。

最後に
 チンパンジーは、ヒトのような振る舞いをさせなくても、十分に魅力的な生き物です。彼らの仲間同士で交わされるやり取りや、仲間関係、親子関係は私たちがわざわざ演出しなくて十分に魅了してくれます。テレビでも、チンパンジーの本来の姿にもっと焦点を当てて欲しいと思います。そしてチンパンジーを飼育している動物園でもチンパンジー本来の姿を見せるような展示、群れ飼育の施設が増えていって欲しいと思います。そしてチンパンジーに対する正しい理解が広まることを願います。

                          2007年1月 サンクチュアリ・プロジェクト事務局


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