ひとりぼっちのチンパンジーたち わたしたちは、特にひとりぼっちで生活しているチンパンジーのためのサンクチュアリをめざしています。 私たちヒトに最も近いチンパンジー。その見かけだけでなく、行動や個性、考える所なども良く似ています。もともと群れで社会生活を送り、小さなグループ(家族・友達)が寄り集まって大きな集団(友達・ご近所付き合い)をつくり、時には恋人同士のランデブー(駆け落ち?)を楽しんだり、仲間同士で駆け引きをしたりとその生活スタイルは私たちにも通じるものがあります。
また、子どもは私たちヒトと同じように、長い期間を母親の元で過ごします。この大事な期間に生きていくために必要なことを学んでいくのです。
ひとりぼっちの理由 その1 ヒトとの付き合いが長すぎてチンパンジー同士での生活が困難な場合。 このような場合には、チンパンジーの身の安全を考えて単独での飼育がなされています。表に出てくることはないため皆さんの目に触れることはあまりないと思います。 そんなチンパンジーに対して、飼育係の皆さんが精一杯ケアを行っていることは言うまでもありません。しかし、一般に動物園などの施設では他にも様々な動物を世話している為、飼育係が一人のチンパンジーに費やすことのできる時間は限られています。 その1 ヒトとの付き合いが長すぎてチンパンジー同士での生活が困難な場合 ショーをしているチンパンジー、そして引退させられたチンパンジーも単独で飼育される場合が多い。 一般的に、動物ショーやテレビ、イベントなどに使われるチンパンジーの多くは2才から6才です。 洋服を着たり、人間のように振舞うチンパンジーは、もちろん誰の目から見てもかわいいものです。しかし、それは、単なる人間のための娯楽であり、人間のエゴのため以外にほかなりません。そして、かわいらしく人間のように振舞うチンパンジーから得られるものは何でしょうか。そのようなチンパンジーを見て、野生のチンパンジーに思いをはせる人はどのくらいいるのでしょうか。その場限りの娯楽になっているのが事実です。私たちの娯楽のためだけに、私たちと同じような感情を持つチンパンジーをこのように利用してよいのでしょうか。 「チンパンジーがかわいいから」「ヒトに似ているから」という理由でたった10年間をヒトのように振る舞って過ごし、残りの40数年を一人ぼっちで過ごすことになるとしたら、その代償は大きすぎるのではないでしょうか。もし、一度ヒトのように振舞うことを教えられたチンパンジーが、一生ヒトとして一緒に暮らすことができるとしたら、これはそんなに大きな問題ではありません。しかし実際には、力も強くなり自分の意思を持つようになったチンパンジーをヒトがコントロールし続けることは不可能なのです。引退後に、運よく群れに入るチャンスを得る個体もいますが、大事な幼少期にチンパンジーと離され、ヒトと多くの時間を過ごしているので、群れ生活に必要な挨拶やルールを知らず、結果として群れに入れず、ひとりぼっちで残りの生涯を過ごさなければならなくなる、という悲しい結果となる場合も多いのです。 そんな悲しいチンパンジーをこれ以上作り出さないように、「かわいいチンパンジー」の現実と将来を意識することが大切だと感じています。
その2 チンパンジーも様々な個性を持つため、どうしても仲間と打ち解けることができない場合 わたしたちヒトと同じようにチンパンジーにも個性があります。群れのメンバーとうまくやっていけないこともあります。特に飼育下という限られた環境の中では、逃げたり隠れたりすることができない場合が多く、ひどい怪我を負ってしまう場合があります。チンパンジーの身の安全のために、いじめられてしまう個体が隔離されたり、いじめる個体が隔離される場合もあります。そのために単独生活をしなければならないチンパンジーたちがいます。 また、飼育下という限られた空間の中では、大きな大人のオスを複数で飼育するのは困難です。オスは大人になると、群れの1位の座をめぐって力比べをするようになります。物を叩いたり、物を引きずって走り回ったりするディスプレイをはじめ、直接対決や他個体が巻き込まれることもあります。そうなると限られた空間の中では、ひどい怪我を負うこともあるため、そうならないように大人オスを分けて飼育するケースも少なくありません。
ショーウインドウの棚に商品を陳列するように、かつての動物園では動物をペアまたは単独で展示していました。
全国には以上のように、様々な事情により、単独で飼育されている個体がまだ多くいます。 個々の飼育施設が抱えている問題は、個々の力だけでは解決が難しい場合が多く、全国的な施設間の共同した調整が少しずつですが進んではいます。しかし、国内の既存の施設だけでの調整では対応しきれない問題も多いのが現状です。 そこで、私たちはそんなチンパンジー達の為のサンクチュアリを作っていきたいと考え、活動しています。 私たちの活動の目的
ひとりぼっちのチンパンジーたち
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