飼育下のチンパンジー
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ひとりぼっちのチンパンジーたち

飼育下のチンパンジー

 チンパンジ−達は、本来の生息地であるアフリカから世界各地の国々に連れて来られています。
飼育下のチンパンジーは、由来が不明な個体が多く、生息地へ返すこと(野生復帰すること)はできません。野生復帰させる場所もないうえ、野生チンパンジーに対する感染症などの衛生上の問題もあります

 飼育下のチンパンジーは、野生チンパンジーとは別の「飼育下チンパンジー」として「種の保存」と「生活の保障」を考えていかなければなりません。

 世界中で飼育されているチンパンジーは約5,000チンプといわれています。そのうち、アメリカには約3000チンプ、日本国内には56施設に352チンプ(2005年12月)が暮らしています。

 アメリカにいるチンパンジー約3000チンプの内訳は、研究所に約1400、動物園およびサンクチュアリに約600、その他(ペット、エンターテインメントなど)に約1000といわれています。

 日本での内訳は、動物園に247、研究所に103、その他に2チンプです。

動物園
 かつては動物園で展示する為に野生チンパンジーを消費していた時期もありましたが、現在はチンパンジーの「種の保存」、「生活環境の改善」、「環境教育」を考えながら飼育している施設が増えています。
 飼育下チンパンジーの種の保存は1施設では行えませんので、動物園は地域組織として繁殖計画を立てて種の保存に取り組んでいます。

 アメリカの動物園が参加する組織、アメリカ動物園水族館協会:AZAでは、Species Survival PlanR Programs:SSPという繁殖計画を立てて飼育下チンパンジーの種の保存に取り組んでいます。チンパンジーSSPは、現在、約250のチンパンジーを管理しています。繁殖計画の推進を妨げている問題として、人工哺育されたメスの繁殖が母親に育てられた個体よりも悪いこと、個体の由来確認が難しいこと、既に亜種の交雑が進んでいることなどがあげられています。
 ヨーロッパ地域の動物園が参加する組織、ヨーロッパ動物園水族館協会:EAZAでは、European Endangered Species Program:EEPという繁殖計画を立てていますが、現在は、亜種のひとつのであるニシチンパンジーに絞って繁殖計画を立てて種の保存に取り組んでいるようです。
 日本では、社団法人日本動物園水族館協会(通称:日動水協)の種保存委員会で繁殖計画を立てています。

ペット
 現在、日本にはペットとして飼われているチンパンジーはいません(ワシントン条約施行以前には日本にもいました)。しかし、世界中には、まだチンパンジーをペットにしている、しようとする人がいるようです。また、それが、密猟、密輸を存続させています。チンパンジーは、かわいい無力な幼児の時期しかペットとしてつきあえません。また、ペットとなったその子は、母親が飼育下の場合でも野生の場合でも、赤ん坊の時に母親から引き離されてペットとされています。野生のチンパンジーの場合、母親は殺され、赤ん坊は生け捕りにされます。
 ペットとされた子は、チンパンジーとしての社会性を学習する機会を失って成長 します。そして、3〜4歳以上になると力が強くなり、一般家庭では手に負えなくなります。そして最終的には、行き場の無いチンパンジーになっ てしまいます。

エンターテイメント
 サーカス、移動動物園、テレビ、映画、CM等の会社に所属するチンパンジーは、かわいい子どもの時期(6歳位まで)にのみ現役でいられます。彼らもペットと同じく、生まれてすぐ母親から引き離されて調教されます。 また、営利目的であるので効率が優先され、飼育環境が悪化する可能性もあります。ペットやプロダクションの引退させられたチンパンジー達の余生(40〜50歳まで生きるので、それからの人生の方が長いのですが)は、単独で寂しく飼育される可能性が高いのです。
エンターテイメントに使用されるチンパンジーについて

医学実験の研究所
 ヒトに近いチンパンジーは世界各国で様々な研究(特にエイズ、肝炎、マラリアなど)に使われてきました。彼らの実験終了後の生活を保障した施設が作られ、「チンパンジー・サンクチュアリ」と呼ばれています。

認知的研究所
 
チンパンジーの高い知能やその能力について研究している機関があります。日本では京都大学霊長類研究所のアイちゃんやその息子のアユム君が有名ですが、海外でも手話を覚えたワショーなど認知的な研究に貢献しているチンパンジーたちがいます。

サンクチュアリ
 医学実験施設、ペット、エンターテイメントで使われていたチンパンジーを引き取り、それ以後の生活を保障していく為の施設です。外国では、非営利の民間組織が寄付金を集めながらサンクチュアリを運営しています。
 
2007年4月、日本にもチンパンジー・サンクチュアリが誕生しました。→こちら
        → 海外のサンクチュアリについてはこちら

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